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【青柳尊哉の徒然なるままに vol.9】ウルトラ恐怖体験! の話

2018.08.07

COLUMNTOPICS

 

大好評! 連載コラム第9回はウルトラ恐怖体験「登るな! キケン!」のお話!

 

いつも愛読ありがとうございます、編集担当のHです。

今回は青柳さんに「ウルトラ恐怖体験のお話を伺いました。

こう暑いと聴きたくなりますよね、怖い話。

 

でも、青柳さんが語ったのはあまりにリアルな恐怖の話でして・・・。

 

コラム連載始まって以来の衝撃エピソード。

それでは早速まいりましょう、背筋も凍る青柳尊哉のホラーコラム、解禁です!

 


 

『夏の思い出はなんですか?』

と言われて思い浮かぶのは…

 

小学6年の時の新潟の海かな。

 

その前の年、親友のタケダくんが転校して新潟へ行ってしまった。

電話や手紙のやり取りを重ね、

 

「夏休みには新潟へ遊びに行くから!」

 

そんな約束をした。

タケダくんに会いに行く事になった同じサッカーチームのメンバーと、お菓子を買い込み、背中を覆うほどの荷物を背負って、電車を乗り継ぎ、大人のいない子供たちだけの夏の大冒険だった。

その当時ぼくは長野県松本市に住んでいたから、360°山に囲まれ、海とは無縁の生活を送っていた。(今も山に魅せられてしまうのは、この頃への回顧なのかも知れない)

 

そんなぼくらは新潟に着くとタケダくんのお父さんに連れられて真っ先に海へと向かった!

海を初めて見るわけじゃないけど、それでも夏は川やプールばかりだった少年タカヤにとっては、何かとてつもない場所に来てしまったんじゃないかと思えて身震いがした。

初めて海釣りをした。

力強く打ち返す波を見ていると

「簡単にぼくなんか引きずり込まれるんだろうな」

なんてことを思った。

そんなことを想像しながらエビの小さいやつをパァっと海へと放って海釣りを楽しんだりした。

小さな黒鯛を釣ったのだけど、〈大したことないよ〉って顔しながらも実は凄く凄く誇らしかった。

好きなジュースを買って、海の家で食べたいモノを好きに買って、スイミングクラブに通っていた腕前をここぞとばかりに発揮して、潜って潜って、上から見た波の激しさとは打って変わって海の中は静かで穏やかで、見上げたぼくと水面の間を魚が通って、こんな景色があったなんてタケダくんはズルイなって思った。

水面から顔を出したぼくをタケダくんや仲間たちが手招きしている。

 

『こっちこっち!!!』

 

彼らが立っていたそこへ向かう時、ほんの少しだけ嫌な予感がした。

コレもきっと人生で初めて認識した胸騒ぎというやつだと思う。

 

懸命に手を伸ばし、足をかけ、同じ場所へと向かった。

この時間、この瞬間、このメンバーで同じ景色を見る事の偉大さは胸騒ぎを打ち消してしまう。

同じものを見なければ、これから先仲間はずれになってしまうって、彼らの会話の中にいたいって、そう思っていた。

 

『あなただけの世界を見たらいい』

 

なんて、だからぼくは口が裂けても子供には言わないだろう。

小さなコミュニティが子供たちなりにあって、世界はその小さな世界しかなくて、ココから外れてしまうことは世界が終わることと同義で。

きっと違う。

いや、絶対違うのだけど、子供心にはそうなんだ。

 

必死に登ってきたクセにドヤ顔一杯で余裕だぜって親指立てちゃうくらいの強がりなぼくが立っていたそこは

 

【テトラポッド】

 

そこをぼくらはアスレチックか何かだと信じて疑わなかった。

運動神経を競い合いたいぼくらにとって格好の遊び場だ。

ヒョイっヒョイっとテトラポッドを飛び回って、度胸試しみたいにコッチからアッチ、アッチからコッチって。

 

隙間には魚がたくさん泳いでいて、飛沫を上げて打ち寄せる波は、さっきまで見ていた波とは全く違う、怒り狂った母ちゃんみたいだった。

コケや海藻がへばりついてヌルヌルして、貝がビッシリ張り付いていた。

 

そもそもテトラポッドってなんであるのか?

子供のぼくらには分かるはずも、考える必要もなかった。

 

なんてたって海知らないから!!!

 

ーーテトラポッド、別名【波消しブロック】

そう、テトラポッドの役割は決して海にあるジャングルジムではない。

その名の通り、波を消す。波のエネルギーを分散させる役割を果たしている。

 

だから、テトラポッドの向こうの海は同じ海だけど全く違う顔をした海になる。

水深は深く、波は高く激しい。

ぼくらはそこを飛び跳ねていた。

 

そしてぼくはジャンプに失敗した。

 

足を滑らせて、ズボンッ!!!とテトラポッドの隙間に落ちていった。

怒り狂った母ちゃんの波の中へ。

 

おかしいな?落ちるなんて考えられなかったな…

さっきまでの海と全然違うじゃん。

ぼくと水面の間は穏やかに魚が通り過ぎていたじゃないか、上がろうともがいてもいつまでも水面にならないんだって。

顔を出してもすぐに波が覆いかぶさって、身体は容赦なくブロックに打ち付けられて、暗くてうるさい水中へ押し戻されて。

おかしいな?おかしいな…泳ぐ余裕もないよ…あ〜、空は見えてるのに遠いな…

 

これが鮮明に覚えているぼくの景色。

無我夢中で這い上がったから今こうしてこのコラムを書けているワケだけど 笑笑

 

いや、笑い事じゃない。

 

身体中は血だらけで、驚き過ぎて言葉が上手く出て来なくて、多分静かに泣いていた。

翌日、みんなは海へ行くって言ったけど、ぼくは行かなかった。

同じ世界を共通の言葉を持たなくていいって思った。

彼らと分かり合えない世界を持ってしまったから。

この日から10年、ぼくは海へ行くことはなかった。

 

これがおれの『ウルトラ恐怖体験』

 

今となっては海とも上手に付き合えるようになったけど、ふとした瞬間フラッシュバックするコトはある。

永遠に底が見えない真っ暗な海のテトラポッドのあの隙間。

 

 

テトラポッドは遊び場じゃありません!

 

夏休み、海や川で遊ぶなら、どうか素敵な思い出だけ残して下さいね。

 

青柳尊哉

 

ちなみに今回のイラストは、前回に続き獅子兄弟より弟のアストラ

アストラ、マジでムズイ・・・。

 


 

【担当Hより】

青柳さん、今月もコラム連載ありがとうございます。

なんですかこのリアル恐怖体験。

ほぼ笑いなしで背筋がヒヤっとしたじゃないですか!

こちらから発注しといて何ですが!

 

ということで次回は趣向を変えてこんな話題はどうでしょう。

「青柳さんが次にやってみたいお仕事とは?」

ウルトラマン関連のお仕事(監督業など)でも良いですし、その他にも演じてみたい役柄でも構いません。あるいは俳優業以外でも大丈夫です!

ちなみに僕は、メンタリストになりたいです。

 

読者の皆さんも、青柳さんに聞きたいことがあったらぜひTwitterなどでリプライいただければと思います!

 

それでは次回もよろしくお願いいたします!

 


 

Profile

青柳尊哉(あおやぎ・たかや)

198526日、佐賀県出身。俳優、アルファセレクション所属

2016年~2018年「ウルトラマンオーブ」、「劇場版ウルトラマンジード」にてオーブの宿敵・ジャグラスジャグラー役を演じる。特技はサッカー、水泳、アクション・殺陣、料理(イタリア料理・デザートなど)。

○日テレ・TVアニメ「中間管理録トネガワ」菊池役レギュラー出演中!

詳しくはTwitter等をご参照下さい。

◆青柳尊哉Twitter

https://twitter.com/takaya_aoyagi

◆公式WEB

http://www.a-selection-pro.jp/actor/takaya.html

 

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