ULTRAMAN

OFFICIAL

  • x
  • facebook

NEWSニュース

神山健治×荒牧伸志 両監督インタビュー “かなり手ごたえのある作品になっています”

2019.02.21

ANIME&MOVIE

 

「月刊ヒーローズ」にて好評連載中の「ULTRAMAN」。コミックス累計280 万部の売り上げを誇る本作が、2019年4月1日、フル3DCGアニメとしてNETFLIXにて全世界配信される。

 

その記念として組まれた特別企画・制作陣インタビューの第4弾。

神山健治監督×荒牧伸志監督によるロングインタビューを公開致します。

モーションキャプチャーで描かれる『ULTRAMAN』の制作秘話から、「ウルトラマン」に対する想いまでたっぷりと語られています。

 

インタビューと併せて、ULTRAMANの躍動感溢れる姿をはじめ手に汗握る戦闘シーンが写し出された場面写真も一挙公開!

 

 

 

 

――フォトリアルな3DCGを手がけてきた荒牧監督と手描き風(セルルック)3DCGの経験がある神山監督が共同監督する『ULTRAMAN』は一体どういうビジュアルになるのか。まずそこが興味深いポイントです。

 

荒牧 神山さんはこれまで何本もTVシリーズを監督しているけれど、僕はTVシリーズの監督はあまりしていません。

逆に僕のほうはモーションキャプチャーによるアクションシーンについて、これまでの作品の経験からいろいろ引き出しがある。

そういう蓄積をお互いに持ち寄って、話し合いながら作っています。今のところは上手くいってると思います(笑)。

 

神山 そうですね。『ULTRAMAN』はセルルックっぽいビジュアルで作っているので、僕は最初、コマを抜いて2コマで動かしたほうがよいんじゃないかと考えていたんです。

でもいろいろテストを重ねていくうちに、「これはフル(コマ)のほうが全体の雰囲気に合うよね」という方向になっていきました。

 

荒牧 だんだんフル(コマ)でやっていく方向になりましたね。だから手描きアニメのように人間がピタっと止まることはないです。さらにアクションシーンはアクターさんの動きをベースに、アニメーション的な気持ちよさを加味する形で作っています。

 

神山 結局アニメーションの醍醐味のひとつはキャラクターがカッコ良く動くことなんですよ。最初は、それでうまくいくのか半信半疑だったんですけれど、今は明らかにフルのほうがよいなという感触を得ています。

特に1つのエピソードの中でアクションシーンをこれだけ長くたっぷりと入れられるのは、モーションキャプチャーを使っているからで、普通の手描きアニメではなかなかできないことができていると思います。

そこはやっぱりこの作品の見どころですね。

 

<異星人と街中で!躍動感あふれる姿に心躍る!>

 

 

――異星人などが想像以上に着ぐるみっぽい感じが出て、特撮感がありますよね。

 

荒牧 モーションキャプチャーを使うことで、「キャラクターの中の人」がちゃんといて、役者が演技をしていますので、デジタルで作っているけどある意味特撮というか着ぐるみ感は思ったよりうまく出ているなと思います。

神山 特に狙ったわけではないけど、そういう効果はありましたね。

 

荒牧 ウルトラマンのほうも、まず通常のフィジカルのアクションをきちんとCGに置き換えていて、そういうアクションのテイストはフルCG作品の中でも新しいものになっています。

さらに飛んだり跳ねたり、モーションキャプチャーで撮れないところは、アニメーターにかっこよく演技をつけてもらっています。

 

<異星人も魅力的!エイダシク星人とどんな戦いを見せてくれるのか!?>

 

 

――先程キャラクターが、「セルルックっぽい」という話がありましたが、セルルックというわけではないんでしょうか。

 

神山 そうです。まずウルトラマンや異星人については、質感や光沢がある独特なルックになっています。

人間のキャラクターはそこまで情報量を増やしてはいないんですが、それでも影をグラデーションにするなど、ウルトラマンと一緒にいても違和感ないルックになっています、

だから手描き絵が動いているように見えるセルルックとはまた違う印象の画面になっています。

 

荒牧 背景はライティングや質感も含めて、かなりリアル寄りでやっていますね。

背景もキャラクターもすべて3DCGで描いているので、静かなシーンなどで立体的なカメラワークを使うことができるのは大きなポイントです。スタッフもそのところを意識して絵をしっかりと作ってくれています。

 

神山 個人的に面白く感じているのはライティングですね。今まで僕がやってきた3DCGアニメは、今回ほどライティングで見せるルックを採用してこなかったので、今回は念願だったライティングを使った演出ができています。

そこは自分のこれまでの作品と一番違うところですね。

 

荒牧 各シーンの色合いも、手描きアニメのようにカットごとに色指定をするのではなく、ライティングやコンポジット(素材を合成して完成画面を作る工程)の過程で色を決めていくというやり方をしています。

それはそれで試行錯誤も多いのですが、最終的な到達点は狙った通りのよいところにきています。

 

<スペシウムソードを構える勇ましい姿のSEVEN!どのような刀捌きを見せてくれるのか!?>

 

 

――実際にキャラクターを配置して、照明をあてて撮影する、という発想に近い作り方なわけですね。今回は、ULTRAMANスーツのメタリックな質感も見どころになるのではないでしょうか?

 

荒牧 そうですね。スーツは最初からかなりリアルにしています。神山さんと「アウトラインは入れたほうがいいね」という前提を共有しつつ、質感はできるだけ出していこうとしています。

原作の魅力でもある、あのライティング感、光と影を上手く使った見せ方は意識してスーツを演出しています。夜の場面のアクションが多いこともあって、そこはかなり意識しましたね。

 

神山 ULTRAMANは、ナイトシーンが向いているんですよね。

 

荒牧 目や体の各所が光るだけでなく、光もののエフェクトが多いですからね(笑)。

 

神山 それにULTRAMANには、なんといってもスペシウム光線がありますしね。特撮のウルトラマンは生物っぽさを持ちながら、その手から光線が出てくるというあやふやさが良いのですが、

今回の『ULTRAMAN』では、そのおもしろさを最大限活かすとしたらこうなるんじゃないか、ということでスペシウム光線を見せています。アニメ映え、CG映えする表現になっていて気に入ってますね。

 

荒牧 僕も神山さんも『ウルトラマン』世代なので、実は最初にこだわったのはスペシウム光線の発射ポーズでした。原作のスペシウム光線の発射スタイルを、なるべくオリジナルの『ウルトラマン』に近づけたい、と。それで清水栄一先生と下口智裕先生といろいろやり取りしまして、発射スタイルはもうちょっとオリジナルに近づいた形にしました。

 

<緊迫感溢れるULTRAMANの背中。3DCGだからこそ描ける戦闘シーンは必見!>

 

<異星人と戦闘中のACE!繰り出される必殺技!戦いの結末は如何に…!?>

 

 

――逆にアニメっぽさを意識しているところはありますか?

 

神山 キャラクターの造形などは、どちらかといえばアニメっぽさを意識しています。だからフルの動きの中にセルアニメの手法を入れて演出しています。目パチ(瞬き)と口パク(セリフの口の動き)はセルアニメの感覚でつけてもらっています。

 

荒牧 表情はそうですね。神山さんが最初の段階から「表情が変わる瞬間に目パチを入れるんだ」とセルアニメ流の魅せ方を相当指示してましたよね(笑)。アニメーターもだいぶ慣れてきました。

 

神山 今回のキャラクターの顔立ちだと、写実的な表情変化は合わないんですよ。

なので、そこはアニメっぽさを少し出すようにアニメの演出のノウハウを持ち込んでいます。

 

荒牧 髪もさらさらと揺れるときは普通にシミュレーションで揺らしても大丈夫なんです。でも、激しくバサバサ動くときは、手で動かした方がそれらしくなるんです。そういうタイミングが上手いアニメーターが何人かいて、必要な時に必要な方法を選べるようになってきたかなと思います。

 

 

――『ウルトラマン』が世に出て半世紀以上が経過しています。今の時代に『ULTRAMAN』を作るおもしろさをどこに感じていますか。

 

神山 うーん、僕は『ウルトラマン』世代なので、そもそも「ウルトラマンを作れる」という面白さがありますね(笑)。

荒牧 それはそうです(笑)。

 

神山 その上で「ウルトラマンって何だったんだ?」「ヒーローはどうあるべきか?」といった要素を入れられるな、というのが今回アニメ化の話しを頂いた時に思ったことですね。

 

荒牧 昔の『ウルトラマン』って、怪獣や宇宙人を一刀両断にしているし、映像もそれをわりとそのまま見せてるんですよ。それって今見ると、ちょっと残酷にも見えたりするんです。

でも「ウルトラマンって何だったんだ?」ということを考えると、そういう一見残酷にも見えるハードな描写から逃げるわけにはいかないよな、と。

Netflixは、地上波と違って制限がないから、という理由でいたずらに残酷なシーンを作ることはないですが、今回の『ULTRAMAN』は、そういうハードさに必然性のあるテンションの話になっていると思います。

そのハードさは2019年の『ULTRAMAN』らしい要素ですね。

 

<アダドと戦うSEVEN。一進一退の攻防に胸が高鳴る!>

 

――そうなると主人公・早田進次郎の描き方はポイントになりそうです。

 

神山 原作を読んだときに、進次郎はある種の現代っ子だなと思いました。ただの熱血ヒーローではないなと。だから彼がウルトラマンになっていくという過程がストーリーの柱になるだろうと。

そこを描くことで、僕らが考える「今の時代のヒーローってこういうものなのかな」というイメージも出てくるのかなと思います。

 

荒牧 現代っ子だけど、ウルトラマンをやることによってシビアさに直面していくんですよね。それに彼がどう向き合っていくのかという部分がドラマだし、脚本会議でもそこにフォーカスするように、そのほかの要素についてはかなり絞りました。

 

<謎の異星人ベムラー。ULTRAMANの拳を片手で受け止める彼の正体とは…>

 

 

――今回の企画は、Netflixを通じて日本発のヒーローを世界に届けるという側面もあると思います。

 

荒牧 そこは意識していないということはないのですが……。ただいつもお答えしているんですが、僕は世界中の人に見てもらうことが当たり前だと思って作っているんです。

だから今回特に世界を意識しているわけではありません、僕は単純に「100人中10人だけが好きな作品だとしても、世界中の10%なら相当な人数になるぞ」と考えているんです。

だから海外と国内の違いをあえて意識することはないです。ヒーロー物、アクションSF、そういった作品が好きな方なら世界の誰でも楽しんでくれるんじゃないかと思っています。

 

神山 海外のファンは“郷愁フィルター”がかからないので、どういう風に見てもらえるのか。そこは素直に楽しみです。

それから、今回は等身大サイズのウルトラマンということなので、そこはむしろ海外の方が受け入れてもらえるんじゃないかなという予感がします。

海外の人にとって、巨大化というのは若干戸惑うところもあると聞いたことがあるので。

 

荒牧「どうして巨大化?」という疑問がたまにあるみたいですね。

神山 逆に我々はそこにまったく引っかからないのですけれどね(笑)。

 

 

――それでは配信を待っているファンに向けて一言ずつお願いします。

 

荒牧 「ウルトラマンってなんだろう?」ということを改めて考えながら作ることができた作品です。その思いは画面に反映できたと思っています。『ウルトラマン』を知っている方も新しいファンの方どちらにも見てもらえる作品になっていますので、よろしくお願いいたします。

 

神山 原作コミックファン、そして特撮の『ウルトラマン』のファン。いろんなファンがこの作品にはいると思います。そういうすべての人に喜んでもらうのは、なかなか難しいことだとは思いますが、面白いものが作れるのではないかと思って挑戦をした作品です。かなり手ごたえのある作品になっていますので、配信を楽しみにしていただければと思います。

 

――ありがとうございました。

 

 

 

■アニメ『ULTRAMAN』作品概要

配信開始日:201941()

配信元:Netflix

https://www.netflix.com/jp/

原作:円谷プロダクション 清水栄一×下口智裕(「月刊ヒーローズ」連載)

監督:神山健治×荒牧伸志

音楽:戸田信子×陣内一真

制作:Production I.G×SOLA DIGITAL ARTS

 

CAST

早田進次郎/木村良平、諸星弾/江口拓也、北斗星司/潘めぐみ、早田進/田中秀幸、佐山レナ/諸星すみれ、井手光弘/魚建、エド/牛山茂、ジャック/竹内良太、遠藤庸介/花輪英司、倉田/関戸博一、白石/白石稔、アダド/津田健次郎、ベムラー/曽世海司

 

主題歌:OLDCODEXSight Over The Battle

公式サイト:https://anime.heros-ultraman.com/


PAGE TOP