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【アニメ「ULTRAMAN」作曲】戸田信子×陣内一真インタビュー!

2019.03.01

ANIME&MOVIECOLUMN

 

いよいよ4月1日(月)よりNETFLIXにて全世界配信されるアニメ「ULTRAMAN」。

今回インタビューするのは、そんな「ULTRAMAN」の劇中音楽をタッグで手掛ける⼾⽥信⼦氏・陣内⼀真氏。

大学時代の同期でもある2人が、劇中⾳楽の作り⽅や「ULTRAMAN」の世界観をどのように⾳楽で表現したのか、制作時のエピソードも交えて語ってもらった。

 

音大時代のライバルにして同級生。タッグを組んでの楽曲制作

――いよいよ2019年4月1日に配信開始となるフル3DCGアニメ『ULTRA MAN』ですが、戸田さんと陣内さんがその楽曲を担当されることになった経緯をお聞かせください。

戸田信子さん(以下、戸田)「以前に『戦律のストラタス』や『ナイトクライ』というゲームの制作に携わったことがあるのですが、その作品を気に入ってくださったプロデューサーの方から『新しいアニメの企画があるんだけど、どう?』というお話をいただきまして……」

――戸田さんのチームにだけオファーがあったのでしょうか?

戸田「複数のコンポーザーが協力して曲を書くというお話もあったのですが、短期間でコンポーザー全員の音楽的なジャンルやクオリティを揃えていくのはとても難しいことなんです。なので、最初にオファーをいただいた時、まずテーマ曲を一曲作り、その方向性がOKであれば全体の制作を私達に任せてもらえませんか? とお話ししました。オーディションのような形でのスタートでした」

――この『ULTRAMAN』の楽曲は戸田さんと陣内さんのお二人で手掛けられていますが、そもそもお二人が知り合ったきっかけを教えてください。

戸田「実は私たち出身大学が同じなんですよ。ボストンにあるバークリー音楽大学で、私は映画音楽作曲科にいました」

陣内一真さん(以下、陣内)「僕は作編曲と、スタジオでの楽曲制作を学ぶ学科にいました」

戸田「テレビとかCMの作曲を学ぶところです」

陣内「そうですね。クライアントを想定して様々な用途の楽曲を作り、スタジオで音を収録して、それをミキシングして……ということを学んでいたんです」

戸田「私のほうは映画音楽作曲科のプログラムを2年で終えたあと、スタジオワークも学びたいと思って(陣内)一真くんのいる科に編入したんです。そこで、彼と同じクラスになったんですね。当時はけっこう、お互いをライバル視していましたね(笑)」

陣内「ちょうど卒業制作も始まっていたし、お互いにどんな曲を作るのかを気にしていましたね(笑)」

戸田「ですので、そのころからお互いにどんな曲を作るのか、制作工程なんかも分かっていた感じなんです」

――お二人が仕事を始められるきっかけになったのも、同級生だったからなんですか?

戸田「学生のころから一緒に仕事をしていたわけではないんです。大学卒業後、私がコナミに就職し、そこで『メタルギアソリッド』というゲームの音楽を制作することになったんですが、ちょうど作曲のポジションに空きが出て、一真くんに声を掛けたのが最初です」

陣内「当時フリーで活動していたところに、戸田さんから『ゲーム音楽やらない?』って電話がかかってきたんですね。それが、最初に二人で仕事を始めるきっかけだったと思います」

戸田「『メタルギアソリッド4』の曲作りのときに、私が大学で学んだ『フィルムスコアリング』という“映像にあわせて音楽を作って行く技術”を一真くんに教えながら、一緒に作曲を行っていきました。それが今回の『ULTRA MAN』の仕事にも繋がっていった感じです」

――そういう経緯だったんですね。では、ご自身が持つ音楽観と、音楽パートナーとなった相手の持つ特徴やリスペクトしている点などをお聞かせください。

戸田「ええ~。いっぱいありますよ。お互いにないものを、それぞれが持っていると思います」

陣内「そうですね(笑)」

戸田「そのぶん反対意見も出やすいんですけど、お互いの専門性を活かした楽曲作りができるのが、私たちの強みだと思っています。たとえば私は音楽演出の見極めやオーケストラ系に強くて、一真くんはシンセサイザーやプログラミングに強いんですよ。ですので、この曲はシンセ寄りで、こっちはオケ色強めで、という風に曲作りを行なうことができるんですね」

陣内「それぞれの特徴をお互いに尊重してます。僕が思う戸田さんの凄いところは、“作品を読み取る力”ですね。しかも、それを分かりやすくこちらに伝えてくれるので、イメージの共有や楽曲作りにおいてとても助かっています」

 

魅力的なヒーローが多いほど悩みも深い。テーマ曲を作る難しさ

――『ULTRAMAN』の楽曲作りについてお聞きします。最初にタイトルを聞いたとき、意識したことはありますか?

戸田「すごく興奮しましたね(笑)。『ああー、どうしよう!』という感じでした」

陣内「『ウルトラマン』って、僕の年齢から見ると、親の世代の絶対的なコンテンツなわけです。それを背負うのかと思うと、ずっしりくるものがありましたね(笑)」

戸田「日本人として、『これは失敗できないな』というプレッシャーですね。ものすごくファン層が広い作品だけに、どこかの年代にターゲットを絞るのではなくて、『ウルトラマン』を知っている世代も、知らない世代も、同じようにその世界へ連れていってあげないといけない。そこが、楽曲を作るうえでの目標でもありました」

――ウルトラマンシリーズの既存の楽曲を聴いたり、参考にされたりはしましたか?

戸田「監督からは、『聴かなくていい』と言われていました(笑)。模倣ではなく新しいものを作るという意味で。私の中にも、『このシーンにはこういうメロディーが来そうだな』というイメージがあるんですよ。だから、もしシリーズの音楽を聴きすぎてしまうと、そちらに寄り過ぎてしまうと思いました。ただ、『これを聞いたら“ウルトラマン”だ!』と分かる新しいモチーフは入れたいと思っていました。あと、ウルトラマン以外にも○○星人など、『この音楽が流れたら、このキャラクターが出てくる』と、すぐ分かるようにすることは重要視しましたね」

陣内「キャラクターごとに何らかの特徴を持たせたり、楽器の使い方を工夫したりしましたね」

戸田「ウルトラマンより、敵役の怪獣とか〇〇星人のほうが作りやすかったですね。ウルトラマンがたくさん登場するので、それぞれかっこいい曲にしたいし、でも似た曲ではダメだし、特定の曲しか印象に残らないというのもダメだし……。個性が見える曲作りが、頭を抱えるくらい難しかったですね」

――今回の楽曲制作は、どのように進められたのでしょうか? お二人の役割分担や、共同で作業されている部分など、曲作りの過程をお聞かせください。

戸田「まず、制作途中の音なしの映像をいただいて、それをもとに二人で音楽を作成していきました。それから、できたものをお互いにプレゼンして、方向性が合っているかどうかをディスカッションして……という行程を毎回、繰り返すんです。そうして回を重ねるごとに、カラーや方向性を定めていった感じですね」

――お二人のあいだで、シーンの解釈が異なることがあったりはしませんか?

戸田「あったよね?」

陣内「ありますね(笑)。でも、話し合いながら作っているので、その都度、相談して擦り合わせていましたので、制作時に困ったことはなかったですね」

 

あえて音楽の主張を抑えることも。ストーリー展開にあわせた曲作り

――現在、制作中の映像を観させていただいたのですが、第1話はシリアスなシーンが続き、楽曲も全体的に緊張感や不安感を意識させられました。作中の楽曲は、どのようなイメージで制作にあたられたのでしょうか?

戸田「私も最初に映像を観た時、第1話のテーマは『重さ』という印象がありました。ウルトラマンの世界にも人間的な苦悩があって、そういう空気を音楽にも反映させようと意識しました。特に第1話のラストは若干サスペンス風で、『一体なにが始まるんだろう?』という引きを作り、これから始まる物語への長い序章のような構成にしています」

陣内「ストーリーの展開がすごく繊細なので、音楽の表現のさじ加減はすごく意識しましたね」

戸田「そうそう。音楽で作品の展開をリードしすぎないようにね」

――聞き手に想像させすぎないように、あえて抑えたということでしょうか?

陣内「抑えていますね。そこから続く第2話の展開も意識していたので……」

戸田「映像を観た時から、第1話と第2話はセットで考えていました。なので、第1話は第2話へ繋がるような音楽設計にしています」

――そんな第2話は、手に汗握るシーンが続きます。臨場感あふれる印象を受けましたが、どのようなイメージで作られたのでしょうか?

陣内「第2話は、とにかくお父さんがかっこいい回!(笑)」

戸田「戦うお父さんを見て、いままで自分本位だった息子が“家族や人のために何かをする”という気持ちに目覚めるのって、すごくアツイ展開ですよね。『ULTRAMAN』全体にも言えるテーマが、第2話には集約されているので、曲作りでも『ヒーロー感』をかなり意識しています」

陣内「曲に勢いをつけたり、音数も増やしましたね」

 

何回聞いても“聞き飽きない”。テーマ曲で一番大事なこと

――ウルトラマンシリーズといえば、やはり「変身」は欠かせません。変身シーンの楽曲作りで意識されたこと、ぜひ視聴者に聞いてほしいところなどありましたら、お聞かせください。

戸田「変身シーンは一番の課題でしたね。“変身するときの曲=テーマ曲”になるくらい印象に残るものを作らなきゃいけないと思って……私たち、何曲作ったっけ?」

陣内「バリエーションも含めれば、13曲くらいですね」

――13曲!

戸田「作曲にあたって1つだけ避けたのは、既存の作品の変身シーン曲を思い出させるものですね。映像だけでなく、音楽でも“新しいウルトラマン”を感じてもらいたかったので。でも、パッと聞いて『ウルトラマンだ!』と分かるような、メロディにもしなければいけない」

――それは、相反する命題ではないでしょうか?

戸田「そうなんですよ! よくお仕事で『覚えやすいメロディをお願いします』というオーダーをされることが多くて……。それも大事なんですが、テーマ曲としてより重要だと思うのは、“聞き飽きない”ことも大事。何回もリピートしたくなるような、中毒性が必要というか。作った曲を何百回も聴き直して確認したりしましたね」

――作業工程で破棄した楽曲なども含めると、かなりの労力ですね。

陣内「山ほど破棄しましたよ(笑)」

戸田「一度ボツになったものを、小手先でいじって再利用はできないので、ゼロからたくさん作りましたね。それに、テーマ曲は納得のいくものを作りたかったですし。飽きのこない“メロディモチーフ”のほかに、“リズミックモチーフ”も必要だなと思っていたんです。たとえば映画『ターミネーター』の『ダダン、ダン、ダダン』のような、そういった特徴的なリズムのモチーフも、テーマ曲のイントロに入れ込んであります。そこも、気に入ってもらえたら嬉しいですね」

――とくにクライマックスシーンがそうですが、全体的にオーケストラのような、壮大でドラマチックな音楽という感想を抱きました。この辺りは、最初から意識されていたのでしょうか?

戸田「今回の楽曲はオーケストラとシンセサイザーの“ハイブリッド楽曲”なんですよ」

陣内「オーケストラの楽器は使っているのですが、いわゆるコンサートホールで聴くような、クラシックオーケストラとはつくりがまったく異なっています。エレクトロニックな要素がうまく混ざり合うように、電子楽器から音のヒントを得たりしましたね」

戸田「まずはキャラクターを表す『音』を決めて、曲の全体を構成していったという感じです。楽曲の規模は絵の世界観に完全にフィットさせるよう何度も何度も調整しています」

――そのあたりも注目して、作品を観ると面白いかもしれませんね。

戸田「そうですね。どのキャラにどんな楽器が使用されているのか、見つけてもらうのも楽しいかもしれません」

――それでは最後に、現在公開中のPVでも使われている『ULTRAMANのテーマ』について、聴きどころがあれば教えてください。

戸田「今回のテーマ曲では、いかに“ヒロイック”な部分を込められるかということに挑戦しています。『強さと優しさ』とか『みんなのヒーロー』というイメージが全面的にあって、最後にはウルトラマンが敵に向かって立っている……という画が浮かぶような、そんな構成になっています」

陣内「音楽ももちろんそうですが、今回の『ULTRAMAN』はとにかく“画”を観てほしいですね。全体的な画面だけでなく、仕草や目線、台詞のタイミングなど、そういったものすべてに監督の伝えたい“想い”が散りばめられています。映像が全力なので、音楽も遠慮なく全力で制作しています。チーム毎の“全力”をぜひ観ていただけたらと思いますね」

――戸田さん、陣内さん、ありがとうございました!

 

Profile

戸田信子(とだ・のぶこ)

陣内一真(じんのうち・かづま)

日本とロサンゼルスを拠点とした作曲家ユニット。サウンドトラックに特化した音楽プロダクションFILM SCORE LLC を設立後、60 以上の映画、アニメ、ゲーム音楽を手掛ける。フィルムスコアリングによるオーケストラやサウンドデザイン的エレクトロニックを融合させ、ハリウッドの映画音楽チームと共有しながら得た音響技術を駆使し、独特な世界観で映像と音楽の相乗効果を実現している。英国アカデミー賞ゲーム部門、インタラクティブ芸術科学アカデミーなど数々の音楽賞を受賞。

代表作:「Metal Gear Solid」シリーズ、「Halo 5」「ファイナルファンタジーXIV新生エオルゼア」「太秦ライムライト」「タイムスクープハンター」等。

【公式ウェブサイト】http://www.filmscore.jp

 

取材・文/岩片 翼(ねこリセット)

©︎円谷プロ  ©︎Eiichi Shimizu,Tomohiro Shimoguchi  ©︎ULTRAMAN製作委員会

 

 

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