【青柳尊哉の徒然なるままに vol.10】仕事ってなに? の話
2018.09.07
COLUMNTOPICS
大好評! 連載コラム第10回は青柳さんの仕事観についてのお話!
いつも愛読ありがとうございます、編集担当のHです。
今回は青柳さんに「他にやってみたい仕事は何ですか?」のお話を伺いました。
いろいろな役を演じる俳優さんだからこそ、何か他の仕事をしてみたいんじゃないかと思って聞いてみたんですね。
ですが、青柳さんがコラムに綴ってきたのはそんな愚問を超越する内容でして・・・。
なぜ俳優を目指したのか、そんな青柳さんのバックグラウンドがわかる本連載。
それでは早速まいりましょう、炎の男・青柳尊哉のファイヤーコラム、着火オンです!
『みんながみんな、やりたい事を仕事にしているわけでは無い』
とおれに向かって言ったのは、弟が16歳の時。
衝撃的過ぎた18歳の兄は、
『カッコつけんな、バーカ』
と、完全敗北を喫した雑魚キャラのようなセリフを吐いた。
早々と学校をやめて漠然と働くという行為に流れていったのだけど、その時は『学校に行かないなら働け』という親父の一言に従っただけでしかない。
その時に《保険が云々、税金が云々…》社会について簡単に説明を受けた。
が、届かない。少年の心には。
働く理由はただ1つ!
お金だ!!!
何故お金が必要なんだ?
生きる為だろう。
ならば働きなさい。
働いて賃金を受け取るには能力を売りなさい。
なんとまぁ、実に分かり易いサイクル。
けど、おれにはこのサイクルがどうも分からなかった。
おれが売れる能力って何だ??
知識もない、社会性もない、協調性もない、こだわりもない、そもそもルールがない。
そんな、おれが売れるモノって?
で、アルバイトでおれが受け取っていたお金の理由は完全なる駒としてである。
体力、体力、体力。
根性だけはこの時にもらった。
歯車じゃん…おれ…
そう感じていたのは事実。
その当時、働いていた佐賀のうどん屋さん。
そこの女将さんに言われた事がある。
『働くって簡単じゃないよ、仕事をするって、誰かに届けるってことなの』
むずい、とにかく!少年には!グレてるし!笑笑
笑うことも出来ない、時間は守れない、頭を下げられない、ありがとうございます、ごめんなさいが言えない、お客さんはみんな敵だと思ってた。
『たかやくん、お客さんは敵じゃないから』
とも言われた。笑笑
もぉ、とにかく何故働くのか分からない!
仕事ってなに!?
そんなおれを見兼ねてだろう。
その時に言われたのが、
『何かやりたい事はないの?』
やりたいこと…
考えたこともなかった。
ただひたすらお金を稼ぐという漠然としたもの以外なに1つ無かったから。
お金を稼ごう!
駒じゃないぞ、おれは!
という単純な動機が俳優を目指した入り口にある。
やりたい事を探すのは、やれる事を探す事と同じで、やってみなきゃ分からないなっていう冒険心もあった。周りが選ばない道を探そうと。
それで、日本アカデミー賞のテレビ中継を見た時にピンときたわけ!
『ココに行きたい!!!』
それで初めて人に、俳優を目指したいってちゃんと伝えた。
その時にやりたい事が決まって、やらなきゃならない事も決まった。
まぁこの辺の俳優を目指す過程の話はまたいずれ機会があった時に話すとして、やりたい事を見つけた少年は、でもやりたい事でお金を得るわけではないんですよね。当然ながら。
ただ、少しだけ違うのは、やりたい事のために叶えたい事のための手段に働くって考え方に変わった。
これは今も変わらない。
叶えたいなら動け。
でも、まだまだ子供です、タカヤ少年。
やりたい事でお金を得られない苛立ちや焦りは凄かった。
早くココを抜け出さなければ!
おれは何者でも無くなってしまう!
そういう事に囚われていた。
だから振り返っても、『おれは夢を叶えるための手段にそれを選んだだけで、仕事が出来ていたのだろうか?』そういう疑問は凄く大きい。
どこか夢を言い訳にしていた部分も沢山ある。
犠牲なんて都合の良い言葉を覚えて使っていた時期もある。
夢を持って夢に生きる
そんな使い古された言葉をさも高尚なことのように振りかざしていた18歳が冒頭の言葉と出会う。
やりたい事でお金を得る事が全てじゃない…
それは少しだけ、逃げなんじゃないか?とも思ったのだけど、そういう考え方もあるのかという衝撃がデカかった。
東京に出て一年。
少し知ったかぶりを覚えて、シティー感を纏って、社会知ってますおれ!感をぶら下げて、夢に生きる!
カウンターパンチをジャストミートさせられたお陰で、その後の東京生活が楽にもなったのだけど。
弟には未だに頭が上がらない。
知らん考え方を与えてくれる。
そして、何故今更こんな話しをしているのかと言うのが本題。
おれは、やりたい事をやってきた。
堂々とその自負がある程にやりたい事を真剣に選んでやってきた。
誤解を恐れずに言うならば、正直仕事をしているという考え方がないのです。
そう、今更【仕事ってなに?】という壁に、今回の【他にやってみたい仕事は何ですか?】という問いを前にして悩んでしまったのだ。ワッハッハー
働いて能力を売って賃金を得る。
こんな単純明快な答えを前にして。
仕事ってなに?
だから、色んな人にインタビューをしてみた!
【あなたにとって仕事って何?】と。
●目的の為の行動
●お金を得る為
●社会貢献
●生きる為
●自己実現
まぁ大体こんな感じ
弟よ、お前は16歳にしてこれを兄に伝えたかったのか!?笑
理解した!
仕事をする。仕事に行ってきます。仕事があるから。仕事残っちゃった。仕事、仕事、仕事…
何だかとても恐ろしい物に囚われている気がしてきた。
何気なく使われる【仕事】って言葉に。
仕事って「やらされてる」と思ってやるとホント辛い。
おれが社会に飛び出したばかりの頃感じていた
『やりたい事ではないこの仕事で賃金を得て良いのだろうか?』
この問いの答えは、得てもいい。
が、やらされてると思っていたおれは大バカ野郎だ!というお土産が付く。
自分で選んだ筈なのに、やりたいことはこれじゃない!って言い訳ばっかり心の中で育ててた。
選んで掴み取るにはやはり努力がいる。
やりたい、やりたくない、という考えを、やるという事を自分で決めた!と考えるようになってから何でも楽になった。
今は、どんな仕事でもやりたいし、どんな仕事でも出来ると思っている。
能力を売れるほどの価値が自分にあれば…
漫画の編集の仕事もやってみたいし、プロデューサーの仕事もやってみたい、サッカーチームのジェネラルマネージャーもやってみたい、ウェディングプランナーもやってみたい、他にもきっと出てくる…
ただどれも覗いてみたいという願望でしかない。
15歳で見つけたこのやりたい事を突き進む人生が一番いい。
結局、【仕事】って【働く】って自分の中で違いや本質は掴めていないけど…
このコラムだって仕事と呼ばれる
演じて作品を作るのだって仕事
他にも、自分が尽くして表現したそれらは仕事なのだけど、そういう全てを自分を通して吐き出した先に、受け止めてくれる人たちがいて初めて成立する。
その人たちが今月も、今週も、今日も、明日も、一瞬でも、《がんばろう》って背中を押すのが自分の仕事。
それがいい。
あぁ、やっとあの時の女将さんの言葉がわかった。
青柳尊哉
ということで、今回のイラストは東 光太郎(タロウ)!
ちなみにこの光太郎もフォトグラファーを目指して単身渡米した、熱いハートを持った男です。
【担当Hより】
青柳さん、今月もコラム連載ありがとうございます。
熱い。
熱いですよ。
読んでて胸がえぐられる思いがしましたよ!
「次にやってみたいお仕事は何ですか〜?」
なんて、気軽に聞いてしまった僕がアホみたいじゃないですか!
ということで次回はせっかくなんで真面目なお話を聞いてみたいと思います。
「最近の『ウルトラマン』関連のお仕事で印象に残っているのは?」
放送終了後もジャグラスジャグラーとしてのお仕事が絶えない青柳さんですが、中でも最近のお仕事で記憶に残っているものを教えてくださいませ。
また、読者の皆さんも、青柳さんに聞きたいことがあったらぜひTwitterなどでリプライいただければと思います!
それでは次回もよろしくお願いいたします!
Profile
青柳尊哉(あおやぎ・たかや)
1985年2月6日、佐賀県出身。俳優、アルファセレクション所属。
2016年~2018年「ウルトラマンオーブ」、「劇場版ウルトラマンジード」にてオーブの宿敵・ジャグラスジャグラー役を演じる。特技はサッカー、水泳、アクション・殺陣、料理(イタリア料理・デザートなど)。
●青柳尊哉×須賀貴匡
出演者2人だけの舞台に挑戦!
日本初上演翻訳劇【受取人不明 ADDRESS UNKNOWN】
〇2018年9月13日(木)~17日(月)
〇赤坂RED/THEATER
チケット予約→http://ticket.corich.jp/apply/93983/002/
詳細→http://lucky-woman-akko.dreamblog.jp/blog/1184.html
●日テレ・アニメ【トネガワ】菊池役レギュラーOA中!
詳細→http://www.tonegawa-anime.com
●青柳尊哉×田口清隆監督企画
空想科学連続ドラマシリーズ
『UNFIX』
この冬配信予定。
詳しくはTwitter等をご参照下さい。
◆青柳尊哉Twitter
https://twitter.com/takaya_aoyagi
◆公式WEB
http://www.a-selection-pro.jp/actor/takaya.html