【青柳尊哉の徒然なるままに vol.15】「超能力(ウルトラパワー)」の話
2019.02.08
COLUMNTOPICS
大好評! 連載コラム第15回は「超能力(ウルトラパワー)」のお話!
オッス、オラ編集担当のH!
みんな元気にしてっか!?
さて、前回は青柳さんに「兄弟について」というテーマで心温まるエピソードを伺いました。
4兄弟の長男である青柳さんの独白、みなさんいかがでしたでしょうか?
私は次男なので自由気儘に生きてきたのですが、弟や妹を思う青柳さんの文章を読んでいたら、「兄」というのはやっぱり偉大な存在なんだなぁ、と改めて感じさせられました。
弟を思う気持ち・・・。
いたわりの兄弟愛・・・。
兄としての威厳・・・。
言葉では語りつくせぬ4兄弟のつながり・・・。
そう・・・
青柳さん・・・
いや・・・兄さん。
ぜひ今度、妹さんの写真見せてください!
はい。
ということで今回は兄弟愛というテーマから打って変わり、「超能力」について聞いてみたいと思います。
「なんで超能力?」と思われる方もいるかも知れませんが、それは読めばきっとわかるはず!
そう、超能力とは「超(ウルトラ)能力(パワー)」ということなんですね。
果たして青柳さんの考える超能力とは!?
それでは早速まいりましょう、青柳尊哉の「超能力」論、チャネリング開始です!
僕はこのコラムを書いている今、映画の撮影中(【HE-LOW THE SECOND】監督:高野八誠 出演:吉岡毅志、須賀貴匡、森次晃嗣、青柳尊哉、ほか)でして、あの『小津安二郎』監督が愛した旅館に泊まっているのですが、小津監督が降臨してくる超能力を求めています。
相部屋の寂しがり屋の先輩を向かいに、縁側で日向ぼっこしています。撮休なので。
手入れの行き届いた中庭の緑と冬のキリっとした陽光を本能的に肉体が求めたのだろう、前日飲みすぎた割にスッキリと嫌味なく上半身を起こし、ふすま向こうの先輩も「日差しがつえ~なぁ・・・」と嬉しそうな声で布団から出てきて、中庭を一望できる縁側で目一杯の朝を吸い込んでいます。
冬の乾燥した澄んだ空気が好きだ。そう思う。
テーブルに整頓された旅館のあのお茶セット。
急須にお茶っぱを入れるのはどうも塩梅がわからないので白湯でいいや。。
沁みる・・・白湯、沁みる・・・
ゆっくりとのど元を過ぎる湯が胃へ辿り着くまでくっきりとその道のりを立体的に浮かび上がらせる。
どうやらそのくらいには沁みる。
沁みる・・・癒される、白湯。
さぁもう一口・・・
・・・お湯割りに変わりました。今。
下町育ちの寂しがり屋の先輩が下町のナポレオンを右手に「いいから、いいから」とニヒヒと笑っています。この人の笑い顔はふざけているなとつくづく思います。
大概自分もふざけてるなと思いますがこの人には敵いません。
絶妙だな。とも思います。そんな変な先輩を向かいに【超能力】について考える。
ロケ中でのオフショット。どの方が例の先輩かは想像にお任せします。
変身が可能なこの先輩に聞いてみようかと思ったけど、やめた。
きっと、「超能力ね~・・・あるね・・・」っていいながらケタケタと笑って終わるから。
そのあと、「まぁまぁ、いいからいいから」って何がいいか全然伝えないままにナポレオンを注ぐ、必ず。己の身は己で守らなければ。
まず僕に超能力は無い!
残念なことに。
ただ割と本気で「飛べる」と思って集中したり、「気合で金髪になれる」と思ったり、「発砲された弾丸は避けられる」と思ったりする。
人は無駄なことを考えてしまう生き物だ。
僕はその無駄なことが割と好きだ。そうなれたら最高だなってワクワクするから。
けど、無駄なことばかり考えていると、【ちゃんと】という単語で怒られる。
例えば「ちゃんと仕事のこと考えてる?」とか「ちゃんと勉強してる?」とか「ちゃんと将来のこと考えてる?」とか・・・
僕は【ちゃんと】という言葉が昔から苦手だ。
【ちゃんとした仕事】【ちゃんとした学校】【ちゃんとした人】・・・
【ちゃんと】って、なんとなくの多数のそれに従えって言われてる気がするから。
でも今、目の前にいるこの先輩を見ていると思う。
【ちゃんとふざけている】そして【ちゃんと無駄なことをする】
ある時から「効率よく」なってしまった時がある。
無駄を省く作業。そうしなければ社会と付き合えない瞬間が訪れてしまったから。
会話も行動も人付き合いでさえ「効率よく」なってしまった。
要は無駄なことをする説得力がなかったし、伝えることの面倒さから逃げた。
物わかりのいい付き合いやすいやつになった。
前日の晩の出来事、旅館の近所の地元の人で賑わう居酒屋へ足を運んだ時の出来事。
気づけば常連客と混じって会話を楽しんでいた。俳優だという僕らの仕事を知っても気さくに気楽に。
その途中で「じゃあちょっと変身してよ!」とくる。
この言葉は慣れっこだ。まぁ嫌がる人もいるだろうけど、僕は大丈夫な人だ。
そういわれる人になれてよかったと思う。
ただ悲しいかな、変身出来ない。いつも本当に変身できたらなぁって思う。
「ちょっと今日は迷惑になっちゃうので・・・」
とか言う、そんな自分に絶望する。
子供の頃からコソコソと変身出来やしないかと集中してきたのに自力では変身ができない。
台本には「変身する」と気軽に書いてある。
このト書きに何人もの大人が群がりそして実現する。
僕の周りは超能力者だらけだ。
だから僕はこの仕事が好きだ。嘘がない。無駄だらけ。ちゃんとふざけている。当たり前のありふれたセリフに全部乗せていい。子供の頃に描いた想像の主になれる。
自分の中にある、「非効率な想い」も「ちゃんとしてない感覚」も全部使って本物にしていいから。
「先輩、変身してってやつにいつも何て答えてます?」
あなたならこの問いになんと答えます?
彼は「変身しちゃいなよ」とニヒヒと笑いながら答えます。
どうやら大真面目に。このふざけた言葉を【ちゃんと】ふざけています。
「できるよ、タカヤが変身してるならそれは変身だよ」って。
「じゃあ今度変身してみます」と答えて、いつかわからない、このふざけた先輩が見ていないところで出来ない変身をした僕の姿を想像して彼はニヒヒと笑っている。
「タカヤ、最高だな」って言いながら。
ちゃんとふざける超能力がこの人にはある。
「さてと、折角早く起きたしこれからどうします先輩?散歩でもします?」
「う~ん・・・もう一回寝ようか、こんな日は」
ふざけた先輩だ。
多くの人が超能力を使い、誰もが誰かに変身するこの仕事は今日も続いている。
青柳尊哉
ということで今回は「先輩」つながりということで諸星弾を描きました。
怖い先輩、ちゃんとした先輩、ちゃんとふざける先輩、色々いますが、僕はそんな先輩たちをいつも尊敬しています。
【担当Hより】
青柳さん、今月もコラム連載ありがとうございます。
青柳さん超能力ないんですか!?
知らぬ間に白湯がナポレオンに変わってるなんて、めちゃくちゃすごい超能力じゃないですか!
僕もそんな超能力が使えるよう、第六感を鍛えていきたいと思います。
ちなみにみなさんの中には超能力を持っている方はいらっしゃいますか?
いたらぜひメッセージを送ってください。取材しにいきます。
さて、話は変わりまして次回はこんなネタでいかがでしょう?
「敵と仲間」について。
ヒーローといえば仲間がつきものですが、そこには必ず「敵」がいます。
でも、大人になると「わかりやすい敵」というのもなかなかいなくなるものですよね。
そんなわけで、青柳さんの思う「敵と仲間」について、ぜひご意見をお聞かせいただければと思います。
また、読者の皆さんも、青柳さんに聞きたいことがあったらぜひTwitterなどでリプライくださいね!
それでは次回もよろしくお願いいたします!
Profile
青柳尊哉(あおやぎ・たかや)
1985年2月6日、佐賀県出身。俳優、アルファセレクション所属。
2016年~2018年「ウルトラマンオーブ」、「劇場版ウルトラマンジード」にてオーブの宿敵・ジャグラスジャグラー役を演じる。特技はサッカー、水泳、アクション・殺陣、料理(イタリア料理・デザートなど)。
【最新情報!】
●2/16~順次公開! 劇場映画「アイアンガール FINAL WARS」
青柳尊哉メインキャストにて出演!
出演:明日花キララ、赤井沙希、天木じゅん、青柳尊哉ほか
劇場:池袋シネマロサ、横浜 シネマノヴェチェント、大阪シアターセブン、名古屋シネマスコーレ等
詳細はこちら→https://eiga.com/movie/89926/
●青柳尊哉×田口清隆監督企画空想科学ドラマシリーズ【UNFIX】
無料配信中!毎月1日に新しい話を配信予定!!!
第1話「特外との遭遇」は現在YouTubeにて配信中!
●3/16~順次公開! 川村ゆきえ、青柳尊哉W主演映画【美しすぎる議員】
出演:川村ゆきえ、青柳尊哉、聡太郎ほか
詳細はこちら→ https://eiga.com/movie/90488/
詳しくはTwitter等をご参照下さい。
◆青柳尊哉Twitter
◆公式WEB