【青柳尊哉の徒然なるままに vol.53】清水先生に会ってきた!(後編)
2022.04.28
COLUMNTOPICS
大好評! 連載コラム第53回は「清水先生に会ってきた!(後編)」
こんにちは、編集担当のHです。
アニメ「ULTRAMAN」シーズン2、世界中で話題沸騰中です!
皆さんご覧になられましたでしょうか?
そしてそして、アニメ「ULTRAMAN」ファイナルシーズンの製作もつい先日発表されました!
怒涛の勢いのアニメですが……漫画本編も負けてはいられませんっ!!!
黒幕的なアレがアレで大変な展開を迎えていますので、ぜひコミプレで最新話をチェックください!
ということで今回は、清水先生のお仕事部屋に訪問する回【後編】をお届けします!
▲ 前回はコチラ!
知られざるお話をしっかり伺ってきましたので、そのあたりを語り尽くしていただきましょう!
それでは早速参ります!
青柳尊哉のドリームジャンボコラム「清水先生に会ってきた!」後編をお届けです!
気付けば4月ですね。
あー、こわやこわや。
いかがお過ごしですか?
年度が変わり忙殺されていたり、新たな環境に戸惑ったり、特別何も……だったり。
希望が多く、その希望が美しいまま続く事を願うばかりです。
新たな出会い、人間関係の始まりに「うっ」っと心が詰まる瞬間があります。
気のせいで、自分の視野の狭さやネガティブが強すぎただけであったらいいのだけど、こればかりはわかりません。
掛け替えのない出会いとなってほしい、けどそんなものは振り返った時に気づく。
ただ、「うっ」っていうソレは間違ってないんだと思う。
逆に自分が相手に「うっ」っと思わせてしまっているかもしれない。
面倒ですね、人って。そう思う。
気にすると気になると中々前に進めないタイプです。
今、清水先生と初めてお会いした日のことを思い出しています。
ご挨拶させてもらったのは「ウルトラマンオーブ THE ORIGIN SAGA」の撮影現場だった。
メイク車から降りて、見慣れない大きな人が所在なさげにされていた姿を思い出します。
簡単な挨拶だったと思う。本当に簡単な。
ただ今思えば自分はそこに愛があっただろうかと思う。
自分は慣れ親しんだ、いわばホームグラウンドである撮影現場で、相手のことを想像せず簡単な挨拶をした。そして撮影を終えた自分は去っていった。
清水先生は「うっ」って思ったかもしれない。
いつも通り当たり前な自分と、いつも通りではない人……。
配慮が足らなかったなあ……。
いつも通りフラットにいたいけど、忙しさや状況の変化で自分の心のざわつきは違うけど、「思い遣り」の心は常に持ち続けたいなと、あの日の自分を思い出しながら気づかされます。
あれから6年、掛け替えのない出会いとなっています。
まさか清水先生の仕事場で対談する日が来るなんて想像もしてなかったですから。
思い描いた通りに進まない悔しさはあるけど、想像もしていない場所にいるから人生は面白い。
清水先生と話している中でもそんな話が多かった。
「想像もしていなかった」「予定通りには行かない」「いつか必然になる」…
あの日のそんな瞬間を切り出してみる──。
▲ 2022年3月某日、清水先生の仕事部屋にて。
青柳「ULTRAMANは全何巻の予定なんですか?」
清水「実は当初の予定ではとっくに終わっているんです(笑)」
青柳「えっ!?」
清水「ジャックやタロウが登場したN.Y.編がクライマックスの一つ前で、そこからラストの展開に向かう予定でした」
青柳「じゃあ、レオとアストラは……」
清水「出す予定はなかったですね。そもそもタロウもスーツを着せる予定はなかったんです(笑)」
青柳「えー!! でもまあ確かに、タロウが燃えたまんまでのストーリーも読んでみたかったです(笑)」
清水「ただ、連載のどこかで腹を括ったんでしょうね。今は本当に続けていて良かったって思ってます」
青柳「気づけば連載10年……」
清水「正直こんなに広がるとは思っていませんでした。世間に叩かれて3年ぐらいで終わっちゃうかなって(笑)」
この「叩かれて3年くらいで終わっちゃうかな」という言葉にネガティブじゃない覚悟を見たような気がした。
清水先生から発せられたソレは、決して諦めているわけでも傷つかない準備をしているわけでもなく、誠実に仕事に向き合うからこその言葉に感じた。
-純粋に面白い漫画を描こう、良いデザインをしよう-
ふと清水先生の部屋を見渡すと、ULTRAMANのフィギュアたちが綺麗に整列しているディスプレイスペースがあった。これも10年の歴史が残したものだ。
青柳「スリーゼロ製のTIGA SUITカッコいいな〜。美しい!」
清水「こう言うのも何ですケド、TIGA SUITのデザインは本当に悩んで、途中諦めかけたりもしたんですよ。最後まで『本当にこれでいいのか?』って気持ちもあって。なので自分で見てもカッコいいって思えるものを残してもらえたので報われた気がしました」
青柳「報われたってすごく分かります! おれ、『ウルトラマンオーブ』を演じた時、たくさんのグッズや商品を作っていただいて、嬉しいんですよもちろん、でもなぜか心が追いついてないんですよ……。まだまだ、なのか、次々って感じなのか……ただジャグラーがSHFiguarts(エス・エイチ・フィギュアーツ)のフィギュアになった時はテンションが上がりましたね。これが残せて良かったなというか、一つ『証』ができたなって」
清水「部屋にこれだけフィギュアを飾っているのでわかると思いますが、自分も立体物がめちゃめちゃ好きなんです。だから自分たちの作品が立体となって手元に残るのはすごい嬉しい。でも……気持ちが追いつかない。この追いつかない気持ちってなんなんだろうって思うんですケド、ずっとわからないんです。多分、夢にも見ていなかった、想定していなかった状況だからだと思うんですが」
この時、烏滸がましくも自分は救われたような気がした。
清水先生と同じように感じることが多くある。状況と状態が相反する感覚。
例えば、嬉しいことがあってもまだ噛みしめていないうちに、確認できてないうちに次へと進んでいる。頭では理解はしていても置いていかれているような、そんな感覚。清水先生はやりたいこと、叶えたいことを夢中で叶えている人だと思っていた。でも自分と同じ気持ちを持っている。
話していて感じていた、丁寧で誠実な言葉たちの意味に触れた気がする。
青柳「デビュー当時はどんな将来をイメージしていたんですか?」
清水「もう20年近く前ですが、最初に連載した漫画が一巻で打ち切りになったんです。その作品が始まる時はやっぱり夢や希望を持っていたんですね。これがアニメになったら、フィギュアになったらって……でも思っていたとおりにできなくて。それで打ち切りが決まった瞬間、自分の夢や希望や理想が全部粉々に砕けてしまったように感じて、それがあまりにショックで……」
青柳「どうやって次に行こうって切り替えたんでしょうか?」
清水「取らぬ狸の皮算用はもうしない。だから次は純粋に面白い漫画を描こう! 良いデザインしようって考えにシフトしましたね」
青柳「ビジネス的な考えにスイッチが入ったと……」
清水「いえ、ビジネスとも思ってなくて、自分にはこの道しかないって。だから自分が納得するまでどんどんハードルを上げていくような」
青柳「それを乗り越えていく」
清水「はい」
青柳「それってめちゃくちゃシンドイですよね? そういう新しいものを作る原動力はどうやって生まれてくるんでしょうか?」
清水「原動力というか、自分がそれまで積み重ねてきたものをどうにか形にしている感覚です」
青柳「自分にはこれしかない! って感じですか? 例えば他の仕事をしようと思ったことはないのでしょうか?」
清水「デビュー前には別の道を志していたことがあるのですが、今はもう漫画しかないってようやく思っています。元々漫画家になろう! なれる! なんて思ってなかったので、こんなに続いていることにもビックリしてます(笑)」
青柳「商売になるなんて……」
清水「思ってなかったですね。だから初連載の時はその覚悟がなくて、やる気だけはあって、でもどこかで舐めていたというか、甘くみていたところがありました。それがポッキリ折られたので、今思えば打ち切りになって良かったのかも知れません(笑)」
青柳「それで、スイッチを切り替えたことで創作への意欲が増していったんですか?」
清水「初連載が終わった後に、『あんな終わり方じゃ不完全燃焼でしょ? もう一回やりましょうよ』って言ってくれた編集さんがいて。僕はあんな辛い思いはもうしたくないって少しトラウマが残っていたんですケド、下口が【やる!】って言って……(笑)」
青柳「それが『鉄(くろがね)のラインバレル』ですか?」
清水「その前身にあたる読み切りですね。でもその時初めて『読む人にちゃんと向き合おう』って思ったんです」
青柳「読者に向き合うっていうのは『媚びる』とはまた違うことなんですか?」
清水「媚びるとは違いますね。姿勢みたいなもので未だに言語化が難しいんですケド……ただその時に初めて漫画って面白いって思ったんです」
上でも下でも無い、一緒にやろうぜ! っていうそういったことでもない……ただそこに確かにある感覚、矢印が自分にばかり向きそうな時に刺しに行く方向を変える覚悟。
一人の人間として肯定された気がした。たとえば、揺るぎない自信と疑い続ける自分とか、仲間が増えるほどの孤独感だったり、挑戦と怠惰……。
こういった会話の節々に見た相反する思いに共感したり憤ったり唸ったり……。
話が広がって尽きなくて、概ね書けないんだけど!
でもそこは、とてつもないエネルギーと一本筋の通った緊張感に包まれた空間だった。
青柳「そう言えば、『ウルトラマンZ』はいかがでしたでしょうか?」
清水「実は『ULTRAMAN』にもセブンガーを出す予定だったんですよ。でもZに出て来たのでやめました(笑)」
青柳「そうだったんですか!?」
清水「本当に出す予定でずっと温めてたんですが……(笑)」
てっきりコミックス17巻の巻末に載っていたセブンガーの話は、Zを観てから描いてくださったのだとばかり思ってた人間がここに一人。それは私ですwww
青柳「じゃあもう本編には……?」
清水「今のところ出す予定はないですね(笑)。セブンガーはもう完全に──」
青柳「市民権を得過ぎてしまった(笑)」
清水「そうですね(笑)。でも自分で一回描けたので満足です」
▲ コミックス17巻に収録されている「番外編」。セブンガーが登場します。
青柳「Zにセブンガー出た時は【やられた‼︎】って感じでしたか?」
清水「セブンガーのソフビを発売日に朝イチで買いに行きましたよ(笑)」
青柳「それ、田口監督めちゃめちゃ喜びますよ!」
あの井手さん&セブンガーの回にこんな裏話があったなんて。
いやホントね、もっとあの話もしたいこの話もしたいってあり過ぎるほどあるんだけど、伝え切れないな、悔しい……。
清水先生、突然お邪魔したにも関わらず笑顔で迎えてくださり、本当にありがとうございました。
誠実で常にリスペクトを持ち他者に向き合う姿勢、自身へ向ける厳しさと、次へ向かうんだという気概、自分自身を改める機会にもなりました。
本当に楽しくて、距離がグッと縮まって、清水先生―――――!!
今度会う時はZの話をしながら「エイちゃん、タカヤ」でサシ飲みですね!!
約束ですよ!!!
H氏、今度は下口先生の仕事場訪問するっきゃないね!
なんたって下口先生には6年会ってないから!!
いや〜楽しみだよ。どんな会話しようかな、下口先生おれのこと覚えてるかな…
……なんて言ってたら、先日の『ULTRAMANワールドプレミア&オーケストラコンサート』で、
会えた、会えてしまったwww
タイミングってあるんだな〜
あんなにざっくばらんに下口先生と話したの初めてでしたね。
その時、印象的だったのが……
ああ、ダメだ終われない!!!
だからその話を含めて、やはり下口先生の元へも訪ねなきゃならんな、H氏!!!
そもそも、このコラムをまとめるのが遅くて気付けばシーズン2始まっちゃったじゃん!!!
いよいよ配信開始となりました。
NETFLIX アニメ『ULTRAMAN』シーズン2
先行で1話だけ観させてもらいましたが、より緻密に繊細に、荘厳な音楽、贅沢なカット割、迫力増し増しなアクションシーン、そして……豪華キャスト!
楽しみすぎる!!!!
青柳尊哉
ということで今回のイラストは進次郎! この10年で彼も成長しました!
【担当Hより】
青柳さん、今月もコラム執筆ありがとうございます。
いや〜、聞き上手ですねぇ。
僕の知らない清水先生のお話、たくさん聞かせていただきました。
さすが「尊哉の部屋」をやっているだけありますね。
そして清水先生、お忙しい中、本当にありがとうございました!
これを機にしばしば九州にお邪魔したいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします!!
あ、ちなみに青柳さん。
下口先生のご自宅近くには有名な温泉街があるとのこと。
次は下口先生の所にも行かなきゃですね。
ということで次回ですが、せっかくなのでアニメ「ULTRAMAN」シーズン2の感想をお聞かせいただければと思います!
何卒よろしくお願いいたします!
「ULTRAMAN」18巻、絶賛発売中!
ご購入は書店・コンビニ・Amazonなどにてお願いいたします!
「ULTRAMAN」総集編も全3巻で発売!
ぜひこちらも合わせてお楽しみください!
Profile
青柳尊哉(あおやぎ・たかや)
1985年2月6日、佐賀県出身。俳優。
2016年~2018年「ウルトラマンオーブ」、「劇場版ウルトラマンジード」にてオーブの宿敵・ジャグラスジャグラー役を演じる。特技はサッカー、水泳、アクション・殺陣、料理(イタリア料理・デザートなど)。
【Information】
● TSUBURAYA イマジネーション MONTHLY ONLINE LIVE 〜尊哉の部屋〜が毎月配信開始!
多彩なゲストをお迎えして送るトーク番組
詳しくは→ https://imagination.m-78.jp/
●「ウルトラマンZ 完全超全集ストレイジBOX」(予約完売)
ストレイジBOX特別付録にジャグラス ジャグラー撮り下ろし写真集
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他にも豪華特典満載!
※予約受付終了しました。たくさんのご注文ありがとうございました!
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